自分の感情がわからないと感じたら：心の声に耳を傾けるヒント
「いま、自分は何を感じているんだろう？」と、自分の心が分からなくなってしまうことはありませんか。悲しいのか、怒っているのか、それともただ漠然と「しんどい」のか。特に10代後半から20代にかけては、心も体も大きく変化する時期だからこそ、自分の感情の波に戸惑うこともあるかもしれません。
生きづらさを感じる日々の中で、自分の感情と向き合うことは、ときにとても難しいことです。感情を感じないように蓋をしてしまったり、あるいは感情が波のように押し寄せてきて、どう扱って良いか途方に暮れてしまったりする方もいるでしょう。でも、自分の感情が分からなくなることは、決してあなただけが抱えていることではありません。多くの人が、一度は同じような感覚を経験しています。
「感情がわからない」と感じるのは、あなただけではありません
私たちは、社会や周囲の人との関わりの中で、自分の感情を表現することにブレーキをかけたり、無意識のうちに抑え込んでしまったりすることがあります。例えば、「こんなことで悲しんでいたら弱いと思われる」「怒りを感じてはいけない」といった思い込みが、いつの間にか心の奥底に染みついていることもあるかもしれません。
感情を抑え込むことが習慣になると、やがて自分の感情そのものに気づきにくくなったり、感じているはずの感情が曖昧になったりすることがあります。また、複雑な感情がいくつも絡み合って、どれが本当の気持ちなのか区別がつかなくなってしまう、ということも起こります。
心の声に耳を傾けるための小さなヒント
自分の感情が分かりにくいと感じるとき、いきなり全てを理解しようとする必要はありません。大切なのは、少しずつ、自分の心に意識を向ける練習をすることです。完璧を目指さず、できることから試してみるのが良いでしょう。
「いま、どんな感情かな？」と、心のなかに問いかけてみる
漠然とした「しんどさ」や「モヤモヤ」を感じたとき、「これはどんな感情だろう？」と、心の中で静かに問いかけてみてください。すぐに答えが出なくても大丈夫です。
例えば、「もしかしたら、少し寂しいのかもしれない」「本当は、あの出来事に怒りを感じているのかもしれない」など、思いつく言葉をいくつか頭に浮かべてみるだけでも良いでしょう。感情には、喜び、悲しみ、怒り、不安、焦り、安心、驚きなど、たくさんの種類があります。辞書のように具体的な言葉を探してみるのも、ひとつの方法です。
体からのサインに気づいてみる
感情は、心だけでなく体にも現れることがあります。たとえば、不安なときに胃がキリキリしたり、緊張すると手が冷たくなったり、怒りを感じると肩に力が入ったりすることもあるでしょう。
自分の感情が分からないときは、体の感覚に意識を向けてみてください。「いま、体のどこに力が入っているかな？」「胸のあたりが重い感じがするな」「なんだか呼吸が浅いな」など、どんな小さな変化でも構いません。体のサインが、心の状態を教えてくれるヒントになることもあります。
感情を「書き出す」ことで整理する
頭の中でぐるぐると考えてしまうときは、感情を書き出してみるのがおすすめです。誰に見せるわけでもなく、どんな言葉でも構いません。ノートの端やスマートフォンのメモアプリに、感じていること、考えていることを、そのまま文字にしてみてください。
「今日はなんだか憂鬱だ」「イライラする」「何が原因か分からないけど、疲れている」など、正直な気持ちを書き出すことで、頭の中が整理され、自分の感情が少しずつ見えてくることがあります。書き出すことで客観的に自分の感情と向き合いやすくなることもあります。
感情に「良い」「悪い」の評価をつけず、ただ受け止める練習
私たちは、社会の中で「ポジティブな感情は良いもの」「ネガティブな感情は悪いもの」と無意識に評価してしまうことがあります。しかし、感情には良いも悪いもありません。どんな感情も、あなたの大切な一部であり、何かを伝えようとしているサインです。
例えば、怒りを感じたときに「怒ってはいけない」と蓋をするのではなく、「いま、自分は怒りを感じているんだな」と、ただその感情があることを認めてみる練習をしてみてください。感情を否定せず、ただ「ある」と受け止めることで、心が少し楽になることがあります。
完璧を目指さなくて大丈夫、少しずつで良いのです
自分の感情と向き合うことは、簡単なことではありません。すぐに全てが理解できなくても、焦る必要は全くありません。今日できた小さな一歩が、明日のあなたを少しだけ変えるかもしれません。
「今日はこれだけできた」「少しだけ気持ちが整理できた気がする」といった、小さな変化を認めてあげることを大切にしてください。
一人で抱え込まずに、助けを求める選択肢も
自分の感情と向き合うことが、どうしても辛く感じたり、一人ではどうしようもないと感じたりする場面もあるかもしれません。そんなときは、どうか一人で抱え込まずに、誰かに頼ることも考えてみてください。
信頼できる友人や家族、学校の先生や職場の先輩など、話しやすい人に相談してみるのも良いでしょう。また、専門的な知識を持ったカウンセラーや心の専門家と話すことで、自分の感情のパターンに気づいたり、新しい対処法を見つけたりできることもあります。具体的な機関の名称は挙げませんが、多くの地域や学校、職場で、心の健康に関する相談窓口が用意されています。まずは情報収集から始めてみるのも一つの選択肢です。
自分の感情と向き合うことは、自分自身を大切にすることにつながります。焦らず、あなたのペースで、少しずつ心の声に耳を傾けてみてください。私たちは、いつもあなたの味方です。